優しい上司の裏の顔!?
「俺に必要なのは、社長という肩書きじゃない。
智美が必要なんだ」
智美を失うくらいなら、こんなのいらない。
弟がこの会社を狙っていた。
なら、弟にくれてやろう。
「社長、聞こえませんでした?
離してください」
それなのに智美は、未だに離してくださいと言っている。
だけど言ってることと真逆で
智美の体は震えているし
なにより声が泣きそうだ。
そこで俺は思い出した。
ここ最近の智美の様子のおかしさ。
きっと、何かあるはず。
別れを告げなきゃならない、別れたくないのにあんなことを言うしかできなかった理由が。
「離さない、連れて帰る」
そう言って俺は、智美の腕を引っ張って家に連れて帰った。