もしも、運命の赤い糸がみえたなら
女子の選手が走り終わり、男子選手が紹介される。
「この組、高橋君が走るね」
隣に座っていた同じクラスの女子たちが話しているのが聞こえた。
そんな声を聞きながら、あたしはぼーっとグラウンドを見ていた。
山脇先生は、放送担当。
ちょうど正面の本部席で放送機器の前に座っているのが見えた。
「次、朱里が走るね」
あたしの隣の席の人がいないのをいいことに、フラッと現れてそこに腰掛けたのは森くんで。
その後ろには天野くんがいた。
平田くんは用具担当らしく、今日はずっと本部テントの隣で待機らしい。
幸華ちゃんも体育祭実行委員で本部テントの近くをうろうろしているはずだから、いいんじゃないかな。