もしも、運命の赤い糸がみえたなら
「1年生、集まろう」
1組の席に座っていた男子が声をかける。
「今年の広報委員は10人で、転入された先生も10人だから、1人ずつ担当すればいいよね。
担当したい先生がいる人とかいる?」
1組の男子がしっかりしきってくれる。
「俺、大井先生。野球部の入部考えてるし、声かけるよ」
「私、鈴先生もっていくよ。うちのクラスの副担だから。」
そんなかんじで、担当が決まっていく。
担当決まった人には、原稿用紙が渡される。
「あとは、鶴田先生と、稲留先生と、山脇先生と」
「あ、じゃあ、あたし山脇先生に渡すよ?」
勇気を出して言う。
委員会の担当の先生じゃないけど、これはラッキーだよね。
話しかけるきっかけになるし。
「はい、じゃあ、お願い。」
原稿用紙を受け取り、心の中でニヤニヤする。
そんなこんなで、担当が全員決まり、
「締め切りは4月23日くらいでどう?
次の日に2年生のリーダーが加藤さんだから俺がまとめて持っていくよ。
俺、1組の木村。」
チラッとのぞく八重歯が印象的だった。