もしも、運命の赤い糸がみえたなら
担任の谷先生が
「それじゃ、順番に自己紹介をしようか」
といい、出席番号1番の女子が席を立つ。
名前と出身中学とよろしくお願いします、とだけ言い、彼女が席に着くと、次の男子が同じように自己紹介をした。
「石川栞菜です。南中出身です。
よろしくお願いします。」
それだけ言って私も着席する。
後ろの席の男子が立つ音が聞こえた。
あたしは、彼を思い出した。
くっきりした二重、
ハーフのように高い鼻、
こげ茶に染めた癖のない髪。
細身で、アルトの少し癖のある声。
入学式の最後。職員紹介。
「社会科担当の山脇輝です。」
前に出てきた彼を見た瞬間。
私の体に強い電流が流れて、息が苦しくなって、頭がぼーっとなって。
初めての経験だったけど、「これがひとめぼれなんだ」ってわかった気がした。