もしも、運命の赤い糸がみえたなら
「こいつ、幸華のこと好きらしくてさ」
「そうなんだ。彼氏、いるらしいよ」
話をまとめてくれた天野くんに、あたしは本当のことをいうか少しためらったけれど、本当のことを言った。
「そうなんだ。」
あたしの答えに少ししょんぼりしたような顔の彼は、同じクラスの平田くん。
平田くんは坊主で天野くんと同じ野球部だ。
「平田、もう幸華のことうばっちまえよ。
どうせ、他校生だろ。
近くにいる方が有利だよ」
輪の中の一人が強気に行くように言うけど、平田くんはくしゃっと笑って言う。