もしも、運命の赤い糸がみえたなら
「俺だって、幸華ちゃんと付き合いたいけどさ、その前に、好きな人には幸せになって笑っててほしいわけ。
だからさ、なんていうかフクザツだよね。」
「お前、まじイケメン」
そんな男子のやり取りを見ていた。
「幸華ちゃん、かわいいし、サバサバしてて、優しくていい人だもんね。
好きになるのわかるよ。」
あたしは平田くんに声をかける。
あたしが彼にどんなことを言ったとしても、現実が変わることはない。
それがわかっていても、何も言わずにはいられなかった。
「おう、ありがとう。
石川さん、まじいい人。
幸華ちゃんのこと、ホンキになる前にほんとのこと聞けて良かったわ」
日焼けした肌に白く光る歯が映える。