もしも、運命の赤い糸がみえたなら
「そういう朱里は、彼氏とどうなの?」
「え?朱里ちゃん彼氏いたの?」
「あ、うん。栞菜ちゃん知らなかった?」
「うん。今初めて知った。」
「そういえば、言ったことなかったかも」
朱里ちゃんは照れたように言う。
「それで、朱里ちゃんの彼氏ってどんな人?」
「私の?塾が一緒だった人なんだけど、1組の迫くん。
幸華と違って、私のとこは安定してるから」
「ていうか、栞菜の話、全然聞かないけど。彼氏とかいないの?」
幸華ちゃんがあたしの話題を振る。
「そんな、彼氏なんていないよ!いたことないし!」
「え!意外!」
そう言ったのは朱里ちゃん。
「じゃあさ、好きな人は?」
「えっと、それは」
あたしの返事に、幸華ちゃんは、「これは、いるな」とニヤニヤ。
そこでちょうど、昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴る。
「これから話が盛り上がるところだったのに。また、聞くからね。」
手早く弁当を片付け、それぞれ自分の掃除担当の場所へ向かった。
あたしは、幸華ちゃんがフリーになったことを早く平田くんに伝えることで頭がいっぱいだった。