もしも、運命の赤い糸がみえたなら
「森くん、すごいね!明日は出るの?」
あたしは興奮気味に聞いた。
「いや、俺は背番号二桁だし。出れるかわかんないけど、出れたらいいな」
「学校から応援してるね」
「森はずるいよな。野球はうまいし、勉強できるし、委員長だし。おまけに可愛い彼女までいてさ」
ジト目で見るのは平田くん。
「いや、そんなことないって」
「え?森くん、彼女いたの?!」
「いない、いない。おい、平田、嘘を栞菜ちゃんに吹き込むな。お前と違って純粋だから信じるだろ」
平田くんと森くんがじゃれあう。
「そろそろ部活行くか」
帰り支度を終えた天野くんが声をかけると、二人とも野球の道具が入った大きなカバンを肩にかけた。
「私たちも部活に行こう」
朱里ちゃんが幸華ちゃんに言う。
あたしも自分のカバンを持った。
「明日は応援頼むな」
平田くんがそういい、一緒に手を振る森くん。
あたしたち3人も振り返した。