もしも、運命の赤い糸がみえたなら


あたしの学校は、校庭の隣に野球部専用のグラウンドがあって。


ホームランのゾーンなのか、フェンスがあって、芝生が植えてあるエリアがある。


そこから観てもいいけど遠いから、あたしたちはバックネット裏に近いところに座った。


うちのクラスの応援の生徒や相手チームの応援よりも目立つ黄色い声。



「大井先生~♡」


そんな悲鳴のような女子高生の声に軽く耳をおさえながら朱里ちゃんが言う。


「大井先生、人気あるよね」


「野球部の副顧問だし。甲子園にも出たことあるんでしょ」


と幸華ちゃん。


「スタイルいいし、顔だって整てる方だし、先生としてもいい人だよね」


うん、うん。


あたしは目の前で繰り広げられる幸華ちゃんと朱里ちゃんの「大井先生褒め大会」をみていた。

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