もしも、運命の赤い糸がみえたなら


体育の大井彩都(おおいさいと)先生。


今年来た先生で24歳らしい。


175cmはある身長に細身で切れ長の一重がクールな印象を与えるけど、楽しいことが大好きで冗談とかもよく言っているみたい。





「実際、うちらの体育は大井先生じゃないからわかんないけどさ、」


あたしたちはグラウンドのすみっこで野球部にヤジを飛ばしている体育のおじいちゃん先生を見た。


「じいに比べたらうらやましい」


幸華ちゃんの切った言葉の続きを朱里ちゃんが言った。



「あ~!!!」



隣の女子たちの残念そうな声が聞こえた。


「あ、大井先生、三振した」


その声で朱里ちゃんが状況を判断し、つぶやいた。


「ていうか、投げてたの平田?」


幸華ちゃんのその声にマウンドから笑顔でベンチへ走る彼をみると、たしかに平田くんらしかった。


「今、うちのクラスはどうなってるの?」


「あー、まだどっちも点入ってないっぽい。

ていうか今始まったばっかりみたいだよ」



目を細めて向こうの得点版を読む。


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