もしも、運命の赤い糸がみえたなら
頬を膨らませて、あたしは社会科準備室を出て、社会科室へ入る。
社会科室は、ふだん社会科の授業をする教室。
だから、なんとなく授業中、自分がいつも座る席に座る。
そしてカバンから、山脇先生特製の課題を取り出す。
課題の解説をするなんて一言も言ってないけど、先生が来るまではこれでもやっておこう。
これ以上、先生にため息をつかせてしまったら、先生の幸せがあたしのせいでなくなってしまう。
うんうん、それは大変だ。
あたしは日本史の教科書を開いて課題の文章を読みはじめる。
1877年モースが発見した貝塚の名前を答えよ。
万物に魂が宿っていると考える縄文時代の考えを答えよ。
ああ。
なんでこんなに問題文って上から目線なんだろう。
全くわかんないよ。
1問、2問と飛ばしていけば、一番下の問題まで読み終わってもなお、解答欄が埋まらない。