もしも、運命の赤い糸がみえたなら
「石川さん、今日は、このプリント集をしましょうか?」
先生は今日のために用意してくれたプリントを戻し、あたしのための特別課題の方を指さした。
「でも、先生はこっちもあたしのことを思って準備してくれたんですよね?」
「そうですけど」
「じゃあ、今日は、こっちをします」
先生が手元に引いた方のプリントをとろうとした。
「でも、そっちを終わらせるべきでは?」
「先生は、どっちもあたしのために用意してくれたんですよね?」
「そうですけど。それは教師として当然のことというか」
「先生、あたしのためにありがとう。大好き♡」
あたしの言葉に先生はびっくりしたような表情で。
いろんな表情の先生を見れたあたしはにやにやで。
観念したように先生は、今日のために用意したプリントをあたしに渡し、再び、イスの背に肘をついた。