もしも、運命の赤い糸がみえたなら
手はつないだままで、あたしは森くんの隣を歩いた。
ちらっと横を見る。
しっかり日焼けしていて、スっと通った鼻筋にきれいな形の二重。
あたしの視線に気づいてか、「ん?」と顔を向ける森くん。
さっきみつけた幟のたこやき屋さんにはやきそばも売っていたから、やきそばとたこ焼きを一つずつ買った。
人ごみを外れて、神社の隅の石段に並んで座る。
「あたし、ここのお祭り初めて来た。」
途中で買ったお茶のペッボトルのキャップを開けた。
夏の暑さと人の熱でしっとり汗ばんでいた。
「実は俺も」
森くんは、屋台で買ってからずっと持っていてくれた焼きそばのパックを開けてくれた。
人の熱から離れた場所であたしたちは小さく「いただきます」と言った。