PMに恋したら
「大好きです」
「俺も」
呟いた言葉に当たり前に返事が返ってくる。それが心地いい。
シバケンは私の体をゆっくりと床に組み敷いた。唇が重なり舌が絡まると、不安も恐怖も嫌なことが全部忘れられる気がしてシバケンの熱に溺れた。
カーテンの隙間から朝日を感じるまでシバケンの腕枕で眠っていた。朝だと認識して顔を動かすとシバケンはまだ起きないようだ。
一晩中腕枕をしてくれて痛かったのではと不安になったけれど、ほとんど寝返りをうつこともなく熟睡している。相当疲れているのだろう。
夜中にスマートフォンの電池が切れてしまい、設定した時間にアラームが鳴ることはなかった。シバケンの家には時計がないので代わりにスマートフォンを借りる。時間だけ確認するとまだ仕事までは余裕で一度家に帰ることもできそうだ。
シバケンの肩が毛布から出ているのでかけ直した。そうしてお互い裸であることを思い出す。シングルのベッドで体が密着しているから私の太ももとシバケンの下腹部が当たる。体を繋げたばかりなのを思い出して自然と顔がにやける。
シバケンを起こさないようにベッドから下りるつもりが、毛布がずれてシバケンが目を覚ました。
「ん……」
「あ、ごめん起こしちゃって」
「大丈夫……おはよう」
「おはよう」
「実弥、もう仕事行くの?」
「ううん、一度家に帰ります」
「じゃあ送ってくよ」
「いいよ。ゆっくり寝てて」
「大丈夫。今日週休だし」
遠慮したのだけどシバケンは送っていくと言って着替え始めた。
車に乗って家の前までしっかり送ってくれた。
「あの人まだいるかな?」
あの人と言われて、それが坂崎さんのことだと気づいた。今ではシバケンも坂崎さんを強く意識している。
「いるとしても大丈夫」
シバケンを安心させるように言った。
「私は断固拒否するから!」
もう私は無敵になったような気さえしている。そんな私を見てシバケンは微笑む。