PMに恋したら
私は青ざめる。避けるのが遅ければ顔にパンチを受けていたのだ。前にも蹴られて肩を痛めたし、警察官は危険な仕事なのだと改めて思い直す。
「消毒したから大丈夫だよ。病院に行くほどでもないし」
何でもないことのように言うから私は背伸びをして頬の絆創膏にキスをした。
「実弥?」
「浄化です」
何だよそれ、とシバケンが笑う。
「実弥、今夜泊っていって」
「いいの?」
「今夜は帰さないつもりで呼んだ」
そう言って再び私の首に唇を這わす。スカートを手繰り寄せて手が直に太ももに触れると恥ずかしさとくすぐったさでシバケンに抱きつく。そのまま体を支えられながらキスをされ少しずつベッドに移動していく。
シバケンの指がショーツの隙間から中に入ってくると甘い声が漏れる。
お互いが服を脱ぐとベッドに倒れこんだ。
シバケンに激しく求められながら「愛してる」と囁かれて、不安も怒りも全部が溶けて消えていくようだった。
シバケンのシャツだけを着て朝ご飯の用意をする私を、裸のままベッドから見ているシバケンの視線が恥ずかしい。
彼の家で朝食を作ることが嬉しくて、次の休みにはお揃いの食器を買いに行こうなんて話も、結婚を意識してくれているようで嬉しい。
駅まで送ってもらい、出勤途中の会社員がすぐそばに居る中「いってらっしゃい」と車の中でキスをした。一緒に住んだらこんなことも日常になるのかと思うと嬉しくて早く荷物をシバケンの家に運んでしまいたいと思う。
シバケンの家に泊まっても次の日に支障がないように会社のロッカーに着替えを入れておくことにしていたのが幸いした。坂崎さんが来ている可能性もあるから自宅なのに帰り辛い。
部長に退職願を出すことをついに決めた。シバケンと住むことにしたけれど父が決めた職場に居続けることはなく転職したいという気持ちは変わらない。