棘を包む優しい君に
 朱莉からは『任せてください!』と意気揚々としたメールが送られて来た。
『お休みの日に仕事なんて大変ですね』と疑いもしないコメント付きで。


 女なんて嘘つきで自分勝手で我が儘な生き物だ。
 所詮は自分の会社の副社長という肩書きに目が眩んでいて俺にいい顔をしたいだけ。

 純粋そうだと思ったことですら騙されているんだと思い直す。

 何度だって信じたかった。
 今まで何度も信じようとした。
 それを裏切ったのはいつも女の方だった。

 今回は違う。今度こそ。
 そう思う気持ちを何度踏みにじられたことか。

 気持ちを新たにして酒をあおった。
 本当に少しだけ。

 自ら変える姿はみるみるうちに小さくなっていった。




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