契約の彼女と彼の事情

14話

「ご飯できましたよ」

居間に顔を出すと、はらはらしていたのか、
落ちつきのない修一郎さんが、ぱっと顔を上げる。

一方、おばあ様はお茶飲み、のんびりしている。

力関係が如実に現れているな~と感じつつ、
食器を居間に運んでいく。

机は大きな一枚板で、座布団を敷いて座るタイプ、
その机にできた料理を並べる。

さばの煮物に、きんぴらごぼう、酢の物に、豆腐の味噌汁、

いただきます、

と3人で声を合わせる。

ちなみに、お父さんは病気で入院中、
普段は2人で食事をしているとの事だった。

「おいしいよ」

味噌汁を飲んだ修一郎さんが、嬉しそうに言う。

ずっと不安そうだったのが、
やっと笑顔が戻って、私もほっとなった。

魚、きんぴらごぼうと、次々箸を伸ばし、
料理上手なんだね、と褒めてくれる。

おばあ様はもくもくと食べている。

普段、1人で食べるだけなので、こうして喜んでくれる人がいる事が
とても嬉しかった。
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