私はそんなに可哀想ですか?
「何処か具合でも悪いんじゃないの?たまたま後ろにいたから見てたけど」

女の子は何も答えない。

「とにかく、親御さんに連絡して迎えに来てもらいなさい。いいね?」

それでも女の子は口を閉ざしたまま動かない。今時携帯電話を持っていないわけでもないだろうが、俺は自分の電話を取り出して彼女に差し出した。

「親はいません」

小さく女の子は呟く。通りすがりの人間が訝しむ様に俺たちに視線を送りながら過ぎ去っていく。中年男と女子高生、あまりいい印象は持ってないだろう。

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