私はそんなに可哀想ですか?
俺は向日葵園と書かれた門柱の前で立ち止まった。良く言えば年季が入った門柱だとも言えなくはないが、有り体に言えばかなり古い。

「・・・ありがとうございました」

女の子は深く頭を下げてから門扉に手を掛けてゆっくりと押した。ギィィと耳障りな音を立てて門が開く。

伝えておくべきだろうな。

俺は女の子を呼び止めて言った。

「川北先生・・園長先生はいるかな?」

「え?」

振り返った彼女の表情は奥にある、やはり古びた建物から漏れる光で逆光になり見えなかった。

建物の玄関が開き、懐かしい、でも自分の知る声より老いた声が聞こえた。



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