私はそんなに可哀想ですか?
そうして明子は若いお母さんになり、俺は若くないお父さんになった。

産まれたばかりの、法的に未だ名前のない息子を抱いて明子はベッドの上で言った。

「司さん、本当にありがとう」

「突然どうしたんだよ?」

「私、凄く幸せです。こうして自分の子供の顔を見れて、愛する人の顔も見れて、怖いぐらい幸せ」

世の中は公平になど出来ていない。
不条理な事はいくらでもある。

それでも、人は幸せだと思えるその瞬間があるから生きて行ける。

また、彼女はもうすぐ視力を失うと医師に告げられた時、こうも言った。






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