四面楚歌-悲運の妃-
用意をすませると、皇后様の元に向かう。
皇后宮に行くまでに、妃嬪達の室を通らなくてはならないのが苦痛だけれど
妃嬪達は私の仮面にいい加減慣れたのか、特に何か言ってる様子はない。
後宮の妃嬪達の楽しみは着飾ったり、噂話したり…
せめて軍妃達は舞妃ノ宮に行って、鍛練してほしいものだ。
そういえば、この前は姜賢妃様に偶然お会いした。
あの時の…姜賢妃様は、なんだか少し様子が違った様な…
考えすぎか。
考えている間に皇后宮に着く。
入り口で女官に話かけると、皇后様がいる部屋まで案内される。
『琴冥紗にございます。お呼びだてありがとうございます。』
入ってすぐ頭を下げて言うと、笑顔で崔皇后様が現れる。
「急に呼びたてした事、許してくださいね。お待ちしていましたよ。さ、顔をあげてこちらにいらして。」
私の背中をそっと押しながら、椅子へと促す。
椅子に座るとすぐに、女官がお茶を持って現れる。
さすが皇后様付き女官は良く教育されている。
何も言わずともお茶がすぐ用意される。