四面楚歌-悲運の妃-


お茶を受け取り、一口飲み顔をあげると、崔皇后様は何やら周りを見渡している。



??



「女官はどうされたのですか?」



誰も連れずに訪れた事に不思議に思われたんだ。


皇后様には隠す必要もない。


散妃ノ宮に使いをやっていて、いない事を告げると目を大きく開けて驚いた。



「まぁ。なぜ女官が1人しかおらぬのです?私から壁内侍にすぐ女官を手配する様に申しましょう。」


崔皇后様の配慮に嬉しく思いつつも、慌てて断る。


断る私を心配そうに見つめる皇后様に、大丈夫だと笑顔で伝えると、ホッとした顔になった。



優しい方だな…。


『もう体の方は良くなられたのですか?』


先日まで床に伏せっておられた崔皇后様。


顔色は見る限りは悪くはない。


崔皇后様は私の言葉に、笑顔になり頷いた。



「床にふせっていた為、陛下の命を守ってくださったお礼を申せなかったので、今日お呼びしたのです。ありがとう。これは私からの褒美です。」


崔皇后様の言葉と同時に、女官が部屋に入ってくる。


私の目の前に、褒美の品がおかれる。


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