四面楚歌-悲運の妃-
こんなに…。
私は陛下を守る為に存在する。
褒美など勿体ない。
すでに陛下からも頂いたのな、皇后様まで…
『陛下に十分な程に褒美は頂きました。私はこの様にたくさんの褒美を頂く程の事はしておりません。まだ、陛下の命を狙うものはたくさんいます…』
そう…まだ問題は解決していない。
私はまだ褒美を頂く価値などない。
「そんな事をおっしゃらず、お受け取りください。私は体が弱く、陛下をお守りする事は出来ません。それに今後、そなたに陛下も私もいろいろと世話になるのです。私の気持ちだとお思いになって?」
崔皇后様…。
これ以上断れば、皇后様の気持ちを無駄にしてしまう。
椅子から立ち上がり、ゆっくりと頭をさげると、皇后様はにっこり笑われた。
「そういえば、散妃ノ宮の呉淑妃に使いをやったとさっき言っておられましたね。陛下の母上様と呂貴妃の事ですか?」
女官を部屋から退席する様に言い付けると、小さな声で私に問いかけた。
『皇后様は陛下の皇太子の時よりの妃です。何か知っておられる事はございますか?』
皇后様の問いに頷くと、言った。
すると、皇后様は顔を左右に振った後口を開く。
「私が陛下の妃になった頃は、すでにお二人は争っておられた。女官もその事を怖くて口にしません。ただ…」
その先を言いにくそうに言葉を止める