四面楚歌-悲運の妃-


ただ…?


皇后様の言葉を待つ様に見つめると、顔を歪めて言葉の先を口にした。



「恢長公子は陛下程ではございませんが、学問も武術もお出来になられます。呂貴妃ではなく恢長公子自身が、謀反の意志を固めれば、恢長公子に付く臣が現れる。そうなれば…」



皇后様はその先を話さなかった。


けれど、話さなくてもわかる。


恢長公子に数多の臣が味方に付き、謀反が起これば


宮廷内は惨劇だ…



無血を願う陛下


陛下は弟と殺し合いなどしたくない。


けれど、謀反の終幕はどちらかの死



血がたくさん流れる



私も皇后様も考えただけで恐ろしい結末に、何も言えなくなっていた。



どれだけ沈黙していただろうか?


その沈黙を破ったのは、皇后様付きの女官だった。



「琴昭儀様付き女官と呉淑妃様のおいででございます。」



え?


呉淑妃様も!?


崔皇后様の顔を見ると、にこりと笑った。


「この方法が1番誰も危険ではありますまい。」



どういう事?


崔皇后様の言っておられる意味がわからなかった。


不思議に思っている内に、絹擦れの音と共に威仔と呉淑妃様と女官が入って来た。


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