四面楚歌-悲運の妃-


派手ではないけれど、美しく着飾られた姿。


姜賢妃様の様なきつめの美しさと違って


崔皇后様と似た、美しく聡明な面立ちだ。


それに年齢は欺前軍妃将軍と同じくらいで、まだ若い。


この方が呉淑妃様。



「お久しぶりでございますね、崔皇后様。そしてお初にお目にかかりますが、お噂には聞いておりますよ。琴軍妃将軍。」



穏和な話し方だ。


優しさが滲み出ている様な人とは、この方にぴったりの言葉だろう。


『琴冥紗でございます。急な使いをやりまして、ご無礼申し上げました。』


突然の展開に困惑しながらも、頭をさげる。


呉淑妃はゆっくりと私に近づくと、背に手を触れた。

「毎日暇をもてあましております。さぁ、顔をあげて。」


にこりと微笑まれる顔は、優しかった。


崔皇后様は呉淑妃様と私を椅子に座る様に言うと、また女官がすぐ様お茶を持ってやってくる。


威仔を含めた女官達は、崔皇后様の指示で部屋から退く。


部屋には私と崔皇后様と呉淑妃様の3人だけとなった。


『あの…どうしてこちらに?』


不思議に思っていた事を、呉淑妃様に問う。


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