四面楚歌-悲運の妃-


呉淑妃様は手にしていたお茶の器をゆっくりと置くと、私に向き合った。


「初めはお断りをしたのです。軍妃将軍が私と話したいとなると、何なのか察しが付きました。私を訪ね軍妃将軍が散妃ノ宮に来るなど、同じ宮にいる呂貴妃に怪しまれます。それ故お断りしました。」


あ…確かにそうだ。


何故、会った事もない軍妃将軍が呉淑妃様と散妃ノ宮に訪れたら怪しまれて当然だ。


それに、散妃ノ宮で話をすれば、聞き耳をたてられでもしたら大変だ。


私は具体的な事は威仔に伝えず、お話しがしたいので散妃ノ宮にお会いしに行かせていただきたいと、いう事しか言付けていない。


さすれば、特に怪しまれる事はないと思っていた。


私はなんと迂闊な事を…



「お断り申していた所に、崔皇后様の女官からこちらにお招きいただいたのです。」



私は思わず崔皇后様の顔を見た。


崔皇后様は頭を右に傾け微笑む。


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