四面楚歌-悲運の妃-
しかし、実際皇族に嫁げる人は少ないという。
後宮に入るにも、厳しい試験面接がある。
皇帝の弟で第2継承権をもつ、恢長公子様の妃とて同じだ。
何よりも、上流貴族である事も重要だろうが、狄洙様とは余程の方なのだろう。
「では後程使いをやりますので、それまでゆっくりなさってください。」
范丞相はそう言い頭を下げると、部屋を後にした。
稚皇太后様・呂貴妃様・恢長公子様
この3人は、会いたくても簡単に会いに行ける方達ではない。
特に稚皇太后様は一番難しい。
呉淑妃様の時の様に勝手に、自らを知らぬ者が使いを送るなど、貴妃や皇太后や公子には出来ない。
だからこそ、この様に会える機会は逃せない。
顔見知りになり、仲良くなれば、会うことは出来よう。
そうなれば、恢長公子様を通して、呂貴妃にも会えるかもしれない。
私は手をギュッとにぎると、護衛の準備をする為に威仔の元に行った。
質素にならないぐらいの、軽く動きやすい衣服に着替える。
髪は後で一つに結い、邪魔にならない様にする。
用意が出来ると、使いがくるまで疲れを癒す為に横になった。