四面楚歌-悲運の妃-


しかし、実際皇族に嫁げる人は少ないという。


後宮に入るにも、厳しい試験面接がある。


皇帝の弟で第2継承権をもつ、恢長公子様の妃とて同じだ。



何よりも、上流貴族である事も重要だろうが、狄洙様とは余程の方なのだろう。


「では後程使いをやりますので、それまでゆっくりなさってください。」


范丞相はそう言い頭を下げると、部屋を後にした。



稚皇太后様・呂貴妃様・恢長公子様


この3人は、会いたくても簡単に会いに行ける方達ではない。


特に稚皇太后様は一番難しい。


呉淑妃様の時の様に勝手に、自らを知らぬ者が使いを送るなど、貴妃や皇太后や公子には出来ない。


だからこそ、この様に会える機会は逃せない。


顔見知りになり、仲良くなれば、会うことは出来よう。


そうなれば、恢長公子様を通して、呂貴妃にも会えるかもしれない。



私は手をギュッとにぎると、護衛の準備をする為に威仔の元に行った。


質素にならないぐらいの、軽く動きやすい衣服に着替える。


髪は後で一つに結い、邪魔にならない様にする。


用意が出来ると、使いがくるまで疲れを癒す為に横になった。


< 123 / 390 >

この作品をシェア

pagetop