四面楚歌-悲運の妃-
どれぐらいぶりか?
軍妃候補として、この黄妃門の前で別れて以来だ。
「まずは久しぶりと申そうか?元気であったか?」
『はい、お陰様で。お久しぶりです、楚殿。』
私も言葉を返すと、また笑顔で頷いた。
楚殿も宦官であるから、後宮で会うだろうと思っていたが、今日まで会うことがなかった。
宦官も妃と軍妃以上に人数が多い。
それ故会えぬのだと思っていた。
しかし、楚殿がここにおられるという事は
汪軍妃官軍の者か恢長公子様付きの宦官。
汪軍妃官軍は我ら軍妃とは、顔見知りだ。
楚殿は汪軍妃官軍でない。
と…いうことは、楚殿は恢長公子様付きの宦官。
予想外だった。
まさか…恢長公子様付きの宦官だったなんて。
今まで会わなかったわけだ…。
「そなたが軍妃将軍で昭儀になり、李燗が軍師補佐で充容になったおかげで公子様付きの宦官に出世した。礼を言わねばな…」
私が気がついた事を悟ったのか、頭をかきながら言った。
楚殿は一頭の馬をひき、私の目の前に連れてくる。