四面楚歌-悲運の妃-
「その様子では、知らず迎親の護衛をしておった様じゃな。
今己が、どれ程不釣り合いな場所におるのか、分かったであろう?
」
呂貴妃様の言葉がはっきりと聞き取れない。
なぜ…この様な形で…
知る事になってしまったのだろう
范丞相はなぜ、教えてくださらなかったのだ?
聞いていれば、今戸惑う事もなかった。
けれどしっかりせねば…
これ以上戸惑い取り乱してはいけない…
私は唇を噛みしめ、呂貴妃様に視線を向け、再び深く頭をさげる。
「ふん!分かったのならば、早々に立ち去れ。
護衛の任はすでに終わったのだ!
楚邑藍、連れ出せ!」
楚殿は一瞬戸惑うが、私をすぐに引き上げ、出口へと連れ出す。
「は、母上!
庶民の出とはいえ、軍妃将軍の地位に付き、後宮では昭儀を賜れている方ですぞ!
お怒りは分かりましたが、兄上の妃にこの様な事をして、兄上になんと申せば良いのですか!?」
出ていく私の背で、恢長公子様が叫ぶ。
「何を恐れているのだ恢長?
そんな気弱であるから、この母を手こずらせ、怒らせるのだ!!」