四面楚歌-悲運の妃-
楚殿のその頼もしい発言に、私は別の事で食い付いた。
『学ぶ?!』
私のその発言に楚殿はせっかくの言葉を邪魔され、少し不服そうな顔をしたが、李燗まで知りたそうな顔をしていたのを見て、溜め息をついた。
「天子様のお子を授かる為の学を学ぶのだよ。
軍妃といえど、歴代には何人も寵を貰った方がいる。」
楚殿言った事に李燗は嬉しそうに笑ったが、私は違う。
私の目的は天子様をお護りする事だ。
「冥紗、そなたは天子様をお護りする為に軍妃になると言ったが、そなたがもし天子様に寵を頂いたらどうする?」
こんな仮面をつけた娘などを寵愛する訳はないと思っていた故に、考えていなかったし、考えるまでもないと思っていた。
私が答えを言わないでいると、楚殿は再度口を開く。
「もしの話だ。
明日には後宮に着く。
最後に冥紗に聞いておきたいのだ。」
もし…
ある訳がないけれど、天子様に寵を頂いたのであれば…
『天子様がお望みなれば、お子をお生みします。』
聖人の私は、天子様の為にこの世に生うけた。
天子様のために生まれ、天子様の為に死すのが宿命。
天子様が望むのであれば、出来る限り叶える。