四面楚歌-悲運の妃-
聞き間違いだろうか?
私と今宵…過ごす?
まさか…そんな事…
「私といるのが嫌か?冥紗。」
陛下の言葉に、急いで首を振る。
信じれないだけだ。
陛下が私と一夜を過ごすなどと…。
陛下は不安な顔の私の手をとり、腰にもう片方の手をやると、私を連れて寝所へと移動する。
これは夢か?幻か?
わからぬまま、陛下と一緒に床に腰かける。
「その様な顔をして、やはり嫌であったか?」
手を握りしめたまま、顔覗き込む様に陛下は言う。
夢ではない。
握られた手に、陛下の体温を感じる。
私の顔を覗き込む陛下は、本物の陛下で、幻ではない。
『なぜ…私と…?』
やっと聞き取れるくらいの小さな声て、陛下に問う。
陛下は優しく微笑むと、握った手を強く握りしめて言った。
「冥紗と一緒に居たいと思ったからだ。
それ以外なにも理由はない。」
陛下…
胸の鼓動が高鳴る。
一緒に居たいと思ってくださった事が嬉しい。
けれど私は…
陛下と床を共にする資格はない…