四面楚歌-悲運の妃-
仮面をつけた軍妃と黄麟殿で夜を過ごしたなどと、陛下が臣下達に何言われるかわからない…
陛下に迷惑がかってしまう。
それに、童女ではなく女人であっても、私はまだ11の娘だ。
七神故に身体がいくら16・7の娘くらいで、心も身体も成熟してるとはいえ、周りはどう思うか…。
陛下と一緒に居る事は嬉しい…
何も考えずこのまま身を任せてしまえれば、どんなにいい事か…
けれど…
『仮面の軍妃将軍と共に過ごしたと知った、臣下達に何を言われるかわかりません。
陛下にご迷惑がかかってしまいます…
他の妃様達にも…』
自分の欲を精一杯抑え、陛下から顔を背き言い放つ。
背いた私の顔に、陛下の指が触れる。
陛下?
次の瞬間、腕を引かれ陛下に抱きしめられる。
…ッ!?
「冥紗の事はしばらく黄麟殿に呼ばぬと、決めていた。
けれど他の妃と共にすれば、そなたはせの警護をする事になる。
そのたびに胸が痛くなるのだ…。」
抱きしめる腕がしだいに強くなり、息が出来ないくらい強く抱きしめられる。
胸の鼓動はよりいっそう早くなる。
『陛下…ッ、息…が…。』
思わず声に出すと、陛下はハっとし、ゆっくり腕の力を和らげる。