四面楚歌-悲運の妃-
∴血の繋がり
――――――
「冥紗ッ!!」
室に帰ってしばらくすると、李燗が勢いよく室に入って来た。
「憧充容様!困ります。
ちゃんと私がお取り次ぎしてから入室してください!」
李燗の後から威仔が、そう言いながら慌てて追いかけてくる。
威仔の注意もお構い無しに李燗は室の奥へ入り、私の前にある椅子に腰掛けた。
落ち着かせる様に一息つくと、口をあけた。
「昨夜、陛下と共にしたって本当?」
李燗は私をまっすぐ見つめ、答えを促す様に身を乗り出す。
私が縦に頭を振ると同時に、李燗の手が私の肩を掴んだ。
!?
「羨ましい〜ッ!!
ね、どんなだった?
ねぇ?ねぇ!?」
私の身体を左右に揺さぶりながら、興奮した様に言う。
り、李燗…
興奮する李燗は、さらに口を動かす。
「冥紗が黄麟殿に呼ばれたって、後宮中騒ぎになってる。
そりゃ嫉妬してないって言ったら嘘だけど
私も四天王のみんなも、陛下が冥紗に惹かれる理由わかってる。
むしろ陛下が仮面の姿を気にせず、冥紗を呼んだ事に感動してるくらい!」