四面楚歌-悲運の妃-
李燗が良いと思っているなら…
『…では、お通しして。』
威仔にそう言うと、また急いで狄洙様が待つ場所に向かう。
なんの為にこられたのだろうか?
昨日、恢長公子様に嫁がれたばかりであるし
私は狄洙様と会話をしていないのに…
李燗も一緒に会うと言ったものの、緊張しているのか顔が強張る。
「杞王妃様のおこしてございます。」
緊張がとける事なく、狄洙様は訪れた。
「琴昭儀様、憧充容様の御訪問中なのにもかかわらず、突然お訪ねして申し訳ありません。」
現れた狄洙様も緊張した様に、声を震わせて言った。
狄洙様も緊張しておられる?
無理もないか…。
昨日の出来事の後だし、仮面の軍妃将軍の姿に恐れるのは当たり前だ。
『いえ…。昨日は醜い所をお見せしてしまい、申し訳ありませんでした。
どうぞ、こちらにお座りください。
今日は何用で?』
狄洙様を緊張をおさめる様に、優しく微笑んで椅子へと促しながら言葉を返す。
狄洙様は少し戸惑った後、椅子に腰かける。