四面楚歌-悲運の妃-
七神は成長が早く、身体から香る独特な甘美な香り…
私が話し終わるまで、2人は一言も何も言わず、私の姿をしっかりと見つめ聞いていた。
室に沈黙が走る。
聖人でありながら、責務から逃げた、愚かな七神。
けれど、愛しい人を守るには、聖人であり続けなければならない。
私は聖人としても迷い
女人としても迷う
伝説の聖人がなんと愚かなと思われてもいい。
けれど、神人と呼ばれる聖人も、幸せになりたいと願う事を…
『私は初めて感じたのだ。
女人としての幸せを…。
味わえない物と諦めていた、その幸せを…。』
昨夜の甘い時が、目を閉じると甦る。
いつこの幸せが壊れてしまうか分からないけれど、陛下の傍にいたい。
お守りしたい…。
「…そう。
七神であろうとなかろうと、私にとっては冥紗は冥紗だわ。
それは変わらない。
掟とかよくわからないけれど、冥紗が幸せと思う道を行けばいい。」
沈黙を破り、言葉を放ったのは李燗だった。
私は私…?
私が幸せと思う道…?