四面楚歌-悲運の妃-
しかし、この事態を狄洙様にはどう説明すればいいのだろうか?
あの場を逃げる様にさってしまい、誤魔化し様もなにもない。
嫁いだばかりとはいえ、私たち皇帝側からすれば、恢長公子様の正妃は対立する立場だ。
私が七神・生姫だと…実の妹であると明かす事はできない。
呂貴妃様の耳にこの事がはいってしまったら…
「大丈夫だと思うわ。」
え?
声の方に目を向けると、李燗が笑顔で私を見ていた。
「私が見る限り、杞王妃様は気弱な方。
それに嫁いだばかりで、まだ味方も敵もいないし、右も左もわからない。
今日の事をしばらくは誰かに話す事はないと思う。
それに話したとしても、こんな奇怪な事、誰も信じやしないわ。」
…確かにそうかもしれない。
呂貴妃様の事を狄洙様は、少なからず怖がっているだろう。
嫁いだ日に、私にあんな仕打ちを目の前でしたのだ。
己もされるのではないかと、恐怖にかられただろう。
きっと私に会いに来たのも、呂貴妃様には秘密に違いない。
言えるはずもない…。
たとえ女官にこの事を言ったとしとも、女官は信じまい。