四面楚歌-悲運の妃-
それ故、強くなり警護役を仰せつかり、陛下に見初められたいという事か…。
「理由はなんにせよ、後宮軍がこれで力をつけるのは良い事だ。
それに、ただ嫉妬や妬みに走るより、こちらの方が後宮はまだ穏やかでいられる。」
崙矣はそう言うと、無表情だった顔を笑顔に変えた。
私が一度でも、陛下の寵を頂く事で、軍妃達の嫉妬や妬みが生まれるかもしれないと、覚悟をしていた。
そうなっても、争いを生まぬ様にしようと思っていた。
けれど
軍妃達は、私の予想と違う行動をしている。
けれど…
すべての軍妃たちがそう思っている訳ではない。
後宮には軍妃ではない、妃達もいる。
仮面をつけた軍妃が、陛下から寵を頂くなどと、怒りを覚えた者もいるだろう…。
「冥紗の考えている事はわかる。
けれど気に病む事はない。
軍妃は常に後宮というなの戦場にたっている。
本物の戦場だけが、軍妃の役目ではない。
小さなうちから、火を消せばいい。
私達で穏やかな後宮にしてこう。」
崙矣…
2人で頷き笑顔かわしあい、軍妃達を後にし、私と崙矣はいつもの広場に向かう。
広場には悒雉・梛犀・晏惟がすでに集まっていた。