四面楚歌-悲運の妃-
3人も私と崙矣に気付き、手を止めて顔を向けるが、すぐに気まずそうな顔をする。
ん?
「他に誰かいる様だ。」
隣に立つ崙矣が、相変わらず無表情で言い、指を指す。
その指を指す方向に目をこらして見る。
木の陰からゆっくりと、現れる。
『崔…皇后様。』
なぜ、舞妃ノ宮においでに?
私に用がおありなのだろうか?
焦らずゆっくりと崔皇后様の元へ行き、頭を下げる。
『崔皇后様、ごきげんうるわしく。
なにかご用でこちらに?』
崔皇后様は優しく微笑まれ、広場を見つめる。
「舞妃ノ宮に1度来てみたかったのです。
貴女方がどの様に武術をなされるか見てみたいのです。
貴女方が鍛練する姿を。
私に気にせず、お続けになって?」
そう言って悒雉達に向かって、手で促す。
悒雉達は気まずそうに、再び始める。
崙矣は特に気に止める事なく、もう一度崔皇后に頭を下げると、悒雉達の中に加わった。
私達の姿を見に…。
崔皇后様は私達軍妃の事まで、しっかり見てくださるのか…。
この様な方が皇后である事に、再度喜びを感じる。