四面楚歌-悲運の妃-
いつも崔皇后様の傍らにいる女官だ。
崔皇后様が陛下の妃として後宮にあがる際に、崔家から連れて来た信頼のある女官。
年の頃は呉淑妃様より、少し上といった所だ。
「貴女は陛下の寝所に呼ばれる事もありましょう。
四天王の方々は貴女の様に、忠誠心が厚いと聞きます。
ですから、四天王の方々にもお願いしたいのです。」
視線をまた崙矣達の方に向ける。
私もそれにつられる様に、崙矣達に視線を移した。
「ここで四天王方が鍛錬する姿を見て、軍妃がどんなに重い荷を背負っているのか分かりました。
陛下に選ばれれば、妃として…。
戦が起これば後宮軍として…。
分かっていたつもりですが、擦り傷を作ってまでも勤しんでいるのですね。」
そう言う崔皇后様の顔は悲しく歪んでいた。
ここまで私達軍妃を想ってくれた皇后が、歴代にいただろうか?
皇后という地位も重いだろう。
崔皇后様とお話しするたびに、この方が皇后で良かったと、何度も繰り返し思わせられる。
貴女様に宿る陛下の御子は、私達がしっかりお護りいたしましょう。
貴女様が私達を、
想い、信じていてくれる限り。
『命をかけて、護らせて頂きます。』
私は椅子から降り、崔皇后様の前にひざまつき言った。