四面楚歌-悲運の妃-



私に要件だけを告げられ、なぜ皇后宮に呼ばれたのかわからない汪軍妃官は、何事かとソワソワしだした。


奥の騒ぎは、崔皇后様が懐妊を告げたからだろう。


『汪軍妃官。
お借りしたい訳を、こちらでお話しいたしましょう。』


私はそう言うと、奥の室へと手を向け促した。


相変わらず意味が分からないといった顔した汪軍妃官は、とりあえず私の後をついてくる。


その後に、四天王達を列なる。


『崔皇后様、琴冥紗です。』


室の入口手前で声をかけると、入るようにと声が返ってくる。


汪軍妃官と四天王達をつれ室の中に入ると、陛下の姿を一番に視線がとらえた。


陛下の傍には、范丞相もいる。



私を見て、少し複雑そうな顔をする陛下。


なぜだか胸が締め付けられる。



陛下に頭を軽く下げると、崔皇后様に向かい直し口を開く。


『崔皇后様、汪軍妃官にこの度の事、お手伝い頂きたく思っております。
私の口からは申し上げる事できませぬ故、どうぞ汪軍妃官にもご報告と、護衛の任を賜りください。』



私の言葉に、崔皇后様の返答ではなく、変わりに范丞相の言葉が返ってきた。



「崔皇后様、これはどういう事で?
琴軍妃将軍はもう知っておいでなのですか?」


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