四面楚歌-悲運の妃-



なげかけられた問いに、崔皇后様は焦らずゆっくり、私に先に護衛を頼んだ事を話す。


范丞相が事を理解すると、崔皇后様は長椅子から立ち上がると、陛下の元へと行く。



「陛下より先に、琴軍妃将軍に申した事、お許しください。
陛下に申せば宮廷中が知る事になります。
その前にこの子を護る手配を整えねばと思ったのです。」



そっとお腹に手をやる崔皇后様の仕草に、隣にいた汪軍妃官が私の顔を見て呟く。


「なんと…、まさか…。」


小さく頷くと同時に、崔皇后様が陛下の元を離れ、私達の前まで来る。


「察しはついたかと思いますが、陛下の御子を授かりました。。
汪軍妃官、琴軍妃将軍、四天王方。
私達を護って頂けますか?」



告げられた護衛の任に、汪軍妃官はお祝いの言葉と共に深く頭を下げる。


私も汪軍妃官と一緒に頭を下げた。


「冥紗…」


名前を呼ばれ、視線だけを少し上げると崔皇后の隣りに陛下が来ていた。


さっきと変わらぬ、複雑そうな顔で私を見る陛下は、私の両肩を持ち、下げた上半身を上げる。


陛下の視線と私の視線が交わると、陛下の口が開く。


「そなたは…」


その先を言わず、私を見つめる陛下に、崔皇后様が優しい声で陛下に言った。


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