四面楚歌-悲運の妃-


「わかっておりますよ、陛下。
その為に四天王方にもお頼みしたのです。
琴昭儀はこれからも黄麟殿にお呼びできます。」



陛下は急いで崔皇后様を振り返る。


「紅蕭(コウショウ)…すまない…。」



その会話にまた胸が痛む。



陛下は私をまた呼びたいと思って下さっているという事に、喜びを感じる反面


崔皇后様がどんな想いで、陛下に言ったかと思うと


酷く胸が痛む…



崔皇后様の顔みるのが酷く怖い。


嫉妬で私に当たってくれた方が、この胸の痛みも和らぐだろう。


けれど、崔皇后様は嫉妬で私に酷く当たったりはしない。


そんな人だからこそ、優しい眼差しが酷く胸を痛ませる。


「して、今からは誰が護衛をなさるので?」



気まずくなりつつあった雰囲気が、范丞相の言葉で変わる。



あ…


そうだ。


今は護衛の話し合いをしなければ。


汪軍妃官軍の宦官達を呼んで頂かなければならないし。



『汪軍妃官軍を含め、四天王達と今から話し合いたいと…。
先程お借りした室を使ってよろしいでしょうか?
決まるまでの間は誰も護衛しておらぬのは危険でしょうし、皇后宮で話し合えば問題ないかと。』


私の答に、崔皇后様は快く了承した。


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