四面楚歌-悲運の妃-
梛犀は普段から口数が少ない。
崙矣と違い、梛犀の場合は消極的という部類だ。
晏惟の欺一族と、梛犀の李一族は親交があり、晏惟とは昔から仲良い。
それ故、強さは落ちるが晏惟と同様の無駄な動きのない剣だ。
梛犀の弱点は強いか弱いかではない。
消極的が故に戸惑いやすく、冷静さを失い剣が鈍る事だ。
後宮を国を陛下を守る意思がない訳ではない。
弱点を梛犀自身も自覚はしており、日々の鍛練でも本人は時には1人で残り、汪軍妃官に手合わせしてもらい、改善しようとしていた。
その改善意思は、守る意思があるからわく感情。
けれど改善仕切れていない今、梛犀に必要なのは…
梛犀を引っ張ってくれる人だ。
崙矣は梛犀に合わせる戦い方は出来ても、同じ口数の少ない崙矣には、梛犀を落ち着かせる事は出来ないだろう。
悒雉は梛犀同様に冷静さに欠ける。
この2人では、刺客に圧されてしまう。
晏惟…
彼女以外はいないだろう。
晏惟は梛犀の事を良く知っている。
そして誰よりも纏める力を持つ晏惟は、的確な判断をし、梛犀の戸惑いを払えるだろう。