四面楚歌-悲運の妃-



大事な役目?


答えを渋る様な言葉に、それが何なのかと聞きこうとしたが、開いた口を閉ざす。


范丞相は私に関わる事以外は教えない。


その大事なお役目が、私がここに呼ばれた理由ならば、聞かなくともいずれ范丞相から言うだろう。

違うなれば、追及する事は出来ない。



しかし関係がないのなら范丞相ならば、今はそれを口にしないはずだ。



何も言わず范丞相を見つめていると、范丞相の視線は江丞相に向けられた。



「江家はただの貴族ではない、櫂家と同じなのです。」


え?


櫂家と…同じ…?


それはつまり…



「二代前の生姫の生家です。」



二代前の…生姫の!?


二代前の生姫は清燐冥(セイリンメイ)様といい、小さい頃から聞かされて来た名前だ。


一代前である冥明様が生まれる79年前にお生まれになり、121の年までご存命で、歴代で1番長く生きたお方。


冥明様が女人となり、今の清老師の様にすべての生姫の役目を冥明様に託した。

しかし冥明様が18の時に聖人の村を出た事により、冥明様の代わりに死するまで生姫として生きられた。


< 208 / 390 >

この作品をシェア

pagetop