四面楚歌-悲運の妃-
欺軍妃将軍のその言葉で、不安な顔をしていた軍妃候補達の顔つきが変わる。
皆、寵を頂きたい。
それ故、軍妃になった。
私は寵を得る為に来た訳ではないが、すべては天子様の為にという所は
皆、一緒なのかもしれない。
「一通りの説明は終わりです。
まずはこれよりこちらの汪軍妃官軍達と1対1で戦ってもらう。」
その言葉に、軍妃候補達はざわめく。
殆んどの候補達が、武術など無縁の者達だ。
戸惑うに決まっている。
「静かにされよ。
力量を見るだけだ。
それにより、組を決め、修行をする。
次に呼ぶ武術に長けた一族の者4名は、5対1でやってもらう。
まずは汀悒雉。梁崙矣…」
え?
思わず隣に座る、悒雉の顔を見る。
「汀一族は優秀な軍妃を多く出してる一族なんだ。」
悒雉はそう言うとにっこり笑った。
もの静かな崙矣はあいかわらず、何も言わず座っていた。
場所は舞妃ノ宮の中央に位置する、広い敷地に移されて1対1は開始された。
まずは悒雉や崙矣など4名の5対1から開始された。
切れない木刀を使って行われる。
はじめは欺軍妃将軍を出した欺一族の、欺晏惟(キアンユイ)。