四面楚歌-悲運の妃-
何も知らなかった童女だった私や他の成人してない者は、ただ清老師様の言われる様に動くのがあたり前だったのだ。
聖人の村がどの様に宮廷と関わっていたのかなんて、今の今まで疑問さえ浮かばなかった…。
「さて、ここからが貴女様とお話する本題です。
それはご本人である、江丞相からお話して頂きます。」
然も先程の事はさほど重大ではないかの様に、范丞相は話を本題に持っていこうと、江丞相に振る。
聖人との仲介役の江丞相が、本題に入るという事は聖人の話か?
江丞相の口から私にとって、不都合な話が紡がれるのではないかと、嫌な汗が吹き出す。
「この度の崔皇后様ご懐妊を、聖人様方にさっそくご報告したところ、明日聖大神を含めた3名の聖人様が、黄麟城においでなさると、ご返事を頂きました。
崔皇后様と陛下に直接、懐妊のお祝いを申し上げたいそうで。」
今日懐妊の報告をしたばかりなのに、すでに聖人側に伝わり返事まで返ってくるとは…
誰かの力を要して、伝達しているに違いない。