四面楚歌-悲運の妃-
崙矣の注意に、口を真一文字にし、頭を軽く左右に振り頷いた。
悒雉の反応が当たり前なのだろう。
崙矣の落ち着き具合はまた別だ。
宴席は陛下・崔皇后様を中央に、陛下の右側に范丞相・私・崙矣・悒雉、私達の向かい側に江丞相・偉罨様・崙宝・俚督と並んで座った。
机の上に並ぶ数々の料理や酒。
女官がそれぞれの杯に酒を盛ると、陛下が口を開く。
「さあ、遠慮せずに楽しまれよ。」
皆で杯をあげ、宴は始まる。
それと同時に踊り子達が現れ、舞を踊り始める。
本来なれば、この刻に宴などする事はない。
宴とは少し違う。
此れは、崔皇后様の聖人様方に歓迎と礼の表しだ。
嬉しそうに料理に手をつける俚督をよそに、崙宝は相変わらず私を見ていた。
そんな様子の崙宝に気付いた偉罨様は、崙宝の肩を軽く叩いた。
「陛下、先程は聞けませんでしたが、そちらの琴軍妃将軍の隣におられる2人の女人の方は軍妃ですか?」
偉罨様が陛下に話しかけると、崙宝も俚督も気になっていたのか、陛下の答えを待つ様に、視線を陛下に向けた。