四面楚歌-悲運の妃-
候補達不安と恐怖をよそに、他の候補達の1対1が始まる。
武術など今まで無縁の者達だ、1人を目の前にしても1度も腕を振れない者
しゃがみこんでしまう者
次々と早いうちに終わり、候補達は1対1をしていく。
ちょうど50人は終わった頃、私の順番が来た。
「大丈夫。平気よ、頑張って!」
悒雉は私が不安がってると思ったのか、背中を軽く叩いて言った。
悒雉の言葉に、李燗が返す。
「違うわ。冥紗には雑作にもない事よね?」
李燗の言葉に私は笑顔で返す。
それに悒雉は首を傾げた。
欺晏惟、李梛犀…そして悒雉と崙矣に劣る訳にはいかない。
私は仮面がある限り、官職を受ける事が出来るか出来ないかもわからない。
天子様をお護りするには、どうしても軍妃将軍につきたい。
私の命は天子様の為に生まれ
天子様の為逝くのだから…
前に出ると、皆が私の仮面の顔に驚いた。
欺軍妃将軍も目を見開き顔歪めたが、すぐに何事もない様な顔をした。
「そなたが琴冥紗か?
宦官の楚から聞いている。
先程名を呼ばなかったが、そなたも武術に長けていると聞いた。
5人と剣を交えるか?
それとも1人とするか?」
楚殿はちゃんと私の事を伝えていてくれたんだ。
良かった。