四面楚歌-悲運の妃-


無数の矢が飛んでくるのが見える。


向かってくる鋭い物を打ち落とす様に生聖を振るうと、生聖に弾かれ不快な音をたて無数の矢が地面に落ちた。



『崙矣!
その袋を此れへ!!
悒雉!
崔皇后様のお護りを!』


状況を把握出来ないでいた2人に、怒鳴り付ける様に言葉を吐く。

把握出来ないでいるのは、2人だけではない。


そこにいる者皆、体が固まった様だった。



我に返った2人は、私の言葉通りに動き


崙矣は私が置き去りにした袋を、素早く取り私に投げ渡し、悒雉と共に崔皇后様を背に庇う。


投げ渡された袋を生聖で切り裂き、中の聖弓を取り出した。


敵が次の矢を放つ前に!



印を組み、弦を引き矢の飛んで来た方へ狙いを定める。



『事象ト対セ!相剋・木剋火!』


私の手を伝い弓矢に炎が纏い、弦から指を離す。


勢いよく風を切り放たれる天矢。


敵から放たれた矢をその纏った炎が打ち砕きながら、真っ直ぐ狙いへと向かう。



目を凝らし行く末を見つめた。




炎は的にたどり着き、さらに増大し大きく燃え上がる。



『さあ、今のうちに中へ!』



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