四面楚歌-悲運の妃-
それからすべての軍妃候補の1対1が終わると、それぞれの室へ帰る事となった。
明日から軍妃候補としての修行が始まる。
私と悒雉と崙矣達は、皆とは別に修行する事になった。
部屋に帰る途中に、ようやく悒雉が私に口を開く。
「冥紗の様な子に初めて会って、動揺している。
そこらの武人より遥かに上をいく…。
私は冥紗に修行してもらいたい。
崙矣が言った通り冥紗には追い付けないだろう。
だけど、私も強くなりたい。」
そう言った悒雉は力強い目で私を見た。
「私どもも、お願いしたい。」
急にそう声をかけられ振り向くと、欺晏惟と李梛犀だった。
「私たち4人は他の軍妃達と違う。我らは強い軍妃を生み出す一族として、天子様を護り、この後宮を護る為に来た。
寵だけを得る為に来たのではない。
そなたもそうであろ?琴冥紗。」
今度は崙矣が言った。
武術に長けた一族の4人…
これから力を合わせて、天子様をお護りするのだ。
気持ちは同じ…
『私で良いのなら…』
そう答えると、皆頷いた。
同じ思いの人がいる…
それが私にとっては嬉しい事で、この後宮でやっていこうと改めて思った瞬間であった。